咀嚼とコメカミは人類を救う!?


眠気に誘われたときガムを噛むと即スッキリする経験があるでしょう、それは非常に面
白い仕組みになっています。コメカミという所は海綿静脈洞といって、脳からの静脈が多
く集まってきています。ところがこの静脈血はコメカミのあたりでグズクズしていてなか
なか下へ降りてくれません。静脈血が滞っていれば、新鮮な血液が脳へ送り込まれないの
です。しかしここで顎が動くと、コメカミに滞留していた静脈血が引っ張られるようにし
て下がってきて翼突筋静脈叢に集まり、そこから先は何事もないように自然に心臓に還流
されます。顎が動く程度にしたがって、コメカミ(海綿静脈洞)の静脈血が引っ張られ、
その見返りとして動脈が流れこみ、脳内の血流も活性化します。「アゴが動く」その代表
的なものが咀嚼ですから、 私はこの仕組みを[噛むことは第3の心臓」あるいは「咀嚼ポ
ンプ」という仮説を提唱しています。(因みに第1は本当の心臓、第2は二足歩行における
恥骨クランク軸運動時の尾稚うなづき運動による脳脊髄液還流と足の静脈弁活性、第4は
横隔膜の働きです。)
 つまり、咀嚼は頭の血のめぐりを良くしてやる働きがあるのです。植物人間として何年
も生き続けると脳か小さくなります。血液の虚血再潅流が促されなかったために、萎縮変
性を起こしてしまうわけです。咀嚼が脳内血流に深く関わっている事実を知ると、咀嚼の
もつ重要性を一段と強く意識しないわけにはいかないのではないでしょうか。若いときに
は意欲的な学習と労働のために、脳をいつも活性化させておく必要がありますし、年を取
ればボケない為にも、ますます咀嚼が必要になってきます。
 咀嚼ポンプ説のもう一つの側面は、顎の血流を促進するということです。これまで顎に
は静脈弁はないとされてきましたが、神奈川県歯科大学の高橋和人教授は、その顎や歯の
まわりに静脈弁を初めて発見し、さらに顎(正確には歯槽骨髄)の中に血液を溜めておく
一種のタンクがあることを確かめました。これは咀嚼がこのタンクから静脈皿を掻い出す
役割を担っていることをはっきりさせた、世界に誇る画期的な発見です。咀嚼が正しく行
われなければ、このタンク内の血液は、東洋医学で言うところのお血(汚れた淀んだ血液)
となり、歯槽膿漏などの原因となることが、ここでハッキリしたわけで、この発見の意義
は大きいと思います。



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