下顎(アゴ)の変位は姿勢(側弯)の変位


 ヒトにおいては、頭位軸と体幹軸はほとんど平行化されて、鉛直方向と近似します。
移動様式(ロコモーション)は、前進性の直立2足歩行となります。正確には指向誘導能
を持つ頭位軸は鉛直で、これと交わる体幹軸はやや前傾である方が、ロコモーションその
ものに対する慣性運動系では、2足直立歩行にはより適応していると言えます。
 つまり、移動能が秀れている事を意味しています。これは、頭囲軸形成上で大きな重錘
(おもり)として作用する下顎骨のもつ意味の重大さに、まさに正比例していると言える
でしょう。この下顎骨の重錘リンク運動を受ける上顎骨は、その形態形成等にも十分投射
されたものとして構築されていなければなりません。
 閑話有題。例えば下のシェーマのごとく下顎が右へ3ミリ〜5ミリぐらいズレていますと、
右肩が下がり、左ベルトラインが下がる事がかなり多く現れて来ます。これ等は重錘であ
る下顎の変位症による、対側への代償作用による側弯を胸推(背骨)に起こします(先天
的側弯症とは異なります)。
 このまま放置して時間が経つと、この生理的代償側弯症と言えども病的側弯症に移行し
たり、他の全身疾患を起こしたりしてきます。近ごろ話題の「噛み合わせと全身疾患」で
す。治療は大きく分けて3つあります。


 1)歯列矯正による不正咬合の是正。頸椎への負担が柔軟に対応できるので9歳〜14歳ぐ
らいまでが一番良い時期(大人でも可能だが、私の考案した手技療法と併用して行えば、
頸椎、腰椎への過重負担が少なくて済みます)。
 2)生活習慣を改める。枕を低く仰向けで寝る(高いと頸椎は後弯する。歯列矯正中の
頸推は、咬合曲面との相同性で前弯を失う)。
 3)タイヤ遊具によるバランス運動を小学校1年生の時からさせる(タイヤを地面に埋め
込むのではなく、プラブラ状態で置く)。


最初はバランスが悪いが、1ヵ月程でケガもしなくなり、側弯も歯列の乱れも無くなるこ
とを京都の伏見小学校と有済小学校で確認(共に全国一の健康優良校に!)。
 このように、上顎の正中線より下顎の正中線の変位症は、単に歯列の歪みばかりでなく、
心身の歪みを起こし、病気になったりして人生そのものも歪めてしまいかねません。ぜひ
信頼できる先生に思い当たる事があれば相談してみてください。